調理師養成施設関係者向けジビエセミナー 資料                      (事前提供動画+アーカイブ、Q&A)

 令和5年度に調理師養成施設の教職員や学生、卒業生、料理人等を対象としたジビエセミナーを開催いたしました。

 下記、参加いただいた方への事前提供動画資料とアーカイブを掲載しております。

セミナー概要はこちら

 

各会場のアーカイブ

令和5年度に全3会場で実施しました「調理師養成施設関係者向けジビエセミナー」の様子をアーカイブにて公開いたします。

■シカ枝肉の部位分け・部位の解説
 講師:一般社団法人日本ジビエ振興協会
    代表理事 藤木 徳彦

 

■ジビエ調理のポイント解説
 講師:一般社団法人日本ジビエ振興協会
    代表理事 藤木 徳彦

(資料はこちら▶)『鹿肉、猪肉の各部位の特徴・調理法』、『ジビエ調理の注意点・ポイント』


■調理実演(鹿児島会場:中国料理)
 講師:株式会社EMTGROUP 代表取締役 / SAVATOMY オーナーシェフ
    船渡 兼市 氏

(レシピはこちら▶)『ジビエ料理レシピ:鹿肉のスパイス蒸し』

■調理実演(宮城会場:宮﨑氏:日本料理)
 講師:梅乃井 
    店主 宮﨑 博士 氏

(レシピはこちら▶)『ジビエ料理レシピ:猪の古木煮』

■調理実演(愛知会場:河合氏:中国料理)【1月に更新しました】
 講師:辻󠄀調理師専門学校 中国料理グループ 
    特任教授 河合 鉱造 氏

(レシピはこちら▶)『ジビエ料理レシピ:脆皮野猪肉鬆(イノシシ肉のオブラート包み揚げ)』

 

≪事前提供動画≫

お申込みいただいた皆様に事前提供動画として、下記動画を配布いたしました。資料は下記よりご覧ください。

(資料はこちら▶) 『オンライン動画教材資料』


■国産ジビエの利活用に関する概況
 講師:一般社団法人日本ジビエ振興協会
    代表理事 藤木 徳彦

■ジビエの基本の加熱方法 ~鹿ロース肉のポワレ~
 講師:一般社団法人日本ジビエ振興協会
    代表理事 藤木 徳彦

■ジビエを取り扱う際の衛生管理
 講師:東京家政学院大学 現代生活学部
    准教授 上薗 薫 氏

■ジビエと栄養
 講師:東京家政学院大学 現代生活学部
    准教授 上薗 薫 氏

 

■食肉の科学
 講師:公益社団法人 全国食肉学校 
    学校長 小原 和仁 氏

 

Q&A

各会場での質疑応答をご紹介いたします。

【ジビエ全般】

Q1. ジビエにはシカ、イノシシ以外にもありますか?
A. ジビエはフランス語で狩猟対象の獣、獣肉のことです。ヒグマやツキノワグマ、穴熊、ハクビシン、野兎、野鳥類(マガモ、キジ、ハト、クジャク等)等があります。

 

Q2. 実習で使用した枝肉の脚がきれいでしたが、檻で捕った方が良いのでしょうか?
A. 今回使用した個体はくくり罠でしたが、かかってすぐの個体でしたので内出血や打ち身等が無くきれいな個体でした。捕獲方法は地域によってさまざまで、銃(ライフル、スラッグ)や箱罠、くくり罠等がありますが、推奨の捕獲方法はありません。厚生労働省のガイドラインでは、銃により捕獲する場合に散弾銃の使用は認めていません。(筋肉内への弾の残存や内臓を傷つける恐れがあるため。)

 

Q3. 解体処理をやりたいと思い、移動式解体処理車(ジビエカー)に興味を持っています。実際に使っているところはどのように活用されていますか?
A. ジビエカーは捕獲した個体の利活用率向上のため、捕獲から処理までをスムーズに行うため、捕獲現場に近い場所で処理ができる車として開発されました。
 ジビエカーは高知県梼原町、岡山県真庭市、長野県長野市及び茅野市で利用されています(令和5年度12月時点)。サテライト型として、施設から離れた場所にジビエカーを設置して猟師にジビエカーまで持ち込んでもらうような運用方法もあります。
 これまでのジビエカーには価格面や過剰装備等の課題も見られたため、新型ジビエカー開発に向けて現在検討が行われています。

 

Q4. 捕獲個体の体温をなるべく早く冷やしたいので、捕獲現場近くで内臓を取り出し、川につけたいのですが、衛生面は問題ありませんか?
A. 厚生労働省のガイドラインでは、「屋外で内臓摘出する場合の衛生管理」に「開口部から個体の内部が汚染されないよう、内臓摘出した野生鳥獣は河川や貯め水等に浸漬しないこと。」表記があります。河川等には大腸菌や病原菌が存在する恐れがあります。保冷車等を活用して、速やかに処理施設等に持ち込むことが望ましいです。

 

Q5. 夏場の鹿は販売されていないと聞いたことがありますが販売できないのですか?
A. 夏場に販売してはいけないルールはありません。夏場暑すぎて猟師の体力の問題で捕獲が減る場合や、鹿が山の上の方に入ってしまって捕獲できないことがあります。そのため、地域によっては販売されていない場合もあります。


Q6. アレルギーにも効くと聞いたことがありますがアレルギーが回復に向かっていくのでしょうか?
A. ジビエを食することがアレルギー改善に繋がるかはわかりません。鹿肉や猪肉はアレルギーを持つ人が少ないため、豚肉、牛肉等のアレルギーを持つ方がそれらの代替として摂取できることが多いと言われています。ただし、猪は豚と交配したイノブタが野生に存在するため、豚肉アレルギーの方は猪肉を喫食する場合には医師等にご相談ください。


【ジビエの販売、購入】

Q7. どこでジビエを買ったらいいですか?
A. 食肉処理業を取得した施設で処理されたお肉を購入してください。営業許可なく販売した場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。(食品衛生法第82条)
地元の猟師から貰うことがあるかもしれませんが、自家消費に留め、飲食店等でジビエを提供する場合は、営業許可を取得した施設から購入する必要があります。

農林水産省が定めた「国産ジビエ認証制度」によって認証された施設は、衛生的な処理を行っていることを確認されています。

▶国産ジビエ認証制度とは?
▶国産ジビエ認証を取得された施設一覧

 

Q8. オスやメス、時期によって美味しさに違いはありますか?
A. ジビエは家畜と違い、育つ環境(食べ物、地域)や季節、処理によって味が違います。一概にどの季節が美味しいとは言えませんが、イノシシの場合は冬には分厚い脂がる一方、夏場は脂が落ちて赤身の多い肉になります。シカは年間を通して赤身が多く、温暖な地域や夏場に脂がのりますが、鹿肉の脂は融点が高い(約55℃)ため、加熱調理後すぐに食べると美味しいですが、少し時間がたつと白く固まってくちどけが悪いため好みが分かれやすいです。

 

Q9. 内臓(タン、ハツ等)は販売できますか?
A. 厚生労働省のガイドラインでは、「内臓廃棄の判断」として「肉眼的に異常が認められない場合も、微生物及び寄生虫の感染のおそれがあるため、可能な限り、内臓については廃棄することが望ましい」と表記されています。
販売して罰せられるということはありませんが、喫食は推奨されていません。


【ジビエの調理】

Q10. 藤木さんは鹿を調理するにあたってどのようなことを勉強されましたか?
A. 調理はいろんな料理を試しました。美味しくなければお店で提供できないため、何が美味しいのかを実践しました。家畜では年中味のばらつきが少ないと思いますが、ジビエは野生動物であるので年齢、雌雄、季節、食べているもの等によって肉質が違います。ここがジビエの価値(面白いところ)になるので、ジビエと向き合うことが大事。部位を決めていろんな違い(雌雄の違い、年齢の違い等)のある肉を焼いて食べ比べてみる、肉質や味、匂い等の違いを感じる、そして違いを活かして何の料理にするかを選ぶことをしています。まず肉を知ることが大切です。

 

Q11. 南では鹿が小さい、北では個体が大きいと言っていましたが、南の個体の方が小鹿のような肉質になりますか?
A. 体の大きさが小さくなるだけで加齢等の肉質の変化は同じだと思います。

 (正確なデータは持ち合わせておらず、今までの経験、主観でありますことご了承ください。)

 

Q12. お肉を柔らかくするために漬け込みに良かった食材や気を付けていることはありますか?
A. 漬け込んだ肉をどのように料理するかにもよりますが、焼肉のたれにすりおろしリンゴを入れたら美味しかったです。パイナップルや塩こうじ等、味の強い食材に漬け込む時は、漬け込んだ時に味が完成料理の邪魔にならないように、最後の味付けには気を付けています。