ジビエ料理のレシピ紹介

柔らかく仕上げたシカ肉のロースト 色とりどりの野菜添え、芋煮の季節を感じて

★第6回ジビエ料理コンテスト 農林水産大臣賞受賞★
松浦 祐未惠 様(専門学校生・宮城県仙台市)

レシピのポイント・開発者のコメント

 今回私はシカ肉の旬に合わせ、東北地方の秋の郷土料理である“芋煮”を感じられるよう、地産地消を意識し芋煮に使われる身近な食材をフランス料理に仕立てました。鹿肉について調べてみると、鹿肉には免疫力をアップさせ、疲労回復やストレス軽減などに効果のある栄養素をたっぷり含んでいることを知りました。
厳しい現代社会を生きる我々には見逃せない栄養素であることは間違いありません。

 さらに鹿肉に含まれる不飽和脂肪酸の共役リノール酸は、脂肪を分解してエネルギーへ変換する酵素に働きかけたりすることで代謝を高め、脂肪を燃焼しやすい体へ導く重要な栄養素です。
また今回の使用食材に含まれる根菜にはシカ肉と同様、身体を温める効果があり、さらに素揚げにして脂溶性ビタミンの吸収率を上げ、しいたけと食べ合わせることで体力増強効果や胃腸を丈夫にする効果を発揮します。
調理の特徴として、下味に塩麹を用いて酵素の力で肉を柔らかくしつつ、かつ低温調理でしっとり柔らかな肉質を維持しながらも70℃というしっかりと火が通る温度で加熱する点がポイントです。
今回私は試作の段階で、生産者様から直接購入できるアプリを通じ、鹿猟を行う猟師さんから鹿肉を購入しました。
初めて自宅で調理した鹿肉をドキドキしながら頬張ると、その美味しさにこれまでの偏見が一瞬で消え去りました。 また、猟師の方々が多くの問題や葛藤を抱えながら、害獣と呼ばれ駆除される命と向き合い、その命を無駄にしないため日々安全性や美味しさを追求し様々な努力や試行錯誤をされている事を知りました。
そういった活動をされている方々に少しでも協力できるよう、また、もっと一般にも広く利用されるようこれから微力ながら情報発信し鹿肉や猪肉を利用し続けたいと思います。
私が何も知らなかったように、まだまだ鹿肉や猪肉の美味しさを知らない方はたくさんいらっしゃると思います。

 今回の作品は少し前までの自分にも向けて、こんな鹿肉なら食べたいと思いませんか?と問いかけるような気持ちで仕上げました。
この作品を通じて、多くの方が鹿肉や猪肉に興味を持ち、食べてみたいなと思って頂けると本当に嬉しいです。

材料・分量(4人分)

材料 分量
シカ肉のロースト(低温調理)》  
シカ(ロースやモモ肉)
(トリミングしていないもの、処理したスジはフォン用に全て使用)

360g

しいたけの石附 2個分
仙台曲がり葱の青い部分  代替:長葱の青い部分 1本分
仙台味噌(塩分濃度1~2%程度のもの) 
代替:合わせ味噌や豆味噌
★味噌と塩麴を1:1で合わせたものを肉の総重量に対して10%分
塩麹(塩分濃度1~1.5%程度のもの) ★味噌と塩麴を1:1で合わせたものを肉の総重量に対して10%分
《シカのスジ肉のフォン  
トリミングしたスジ肉 100g程度
玉葱 中 1/4個
人参 中 1/4個
生姜 10g
にんにく 5g
ホワイトペッパー(粒) 8粒程度
ローリエ 1枚
白ワイン 200㏄
400㏄
サラダ油 大さじ1~1.5
《マッシュドサトイモ  
里芋 小 6個程度
バター 20g
ひたつまみ程度
白胡椒 適量
ナツメグ 適量
《根菜の素揚げ  
人参 中 1/2個
さつまいも 中 1/2個
かぼちゃ 中 1/4個
精製塩 適量
白胡椒 適量
サラダ油 適量(300g程度)
《きのこと仙台曲がり葱のソテー  
仙台曲がり葱 代替:長葱 1本
しいたけ(肉厚なもの) 2個
しめじ 1/2個
サラダ油 大さじ1
バター 10g
《芋煮の季節のソース  
赤ワイン 300㏄
★シカのスジ肉のフォン 100㏄
★低温調理したシカ肉から出た液体 全て
★低温調理で使った椎茸石附と葱の青い部分 全て
醤油 大さじ1
砂糖 15g
玉葱 中 1/4個
玉葱 10g
山椒 代替:ホワイトペッパー粒 10粒程度
ローリエ 1枚
バター 35g
《セリのオイルソース  
セリ 代替:三つ葉や、分葱 2本分
オリーブオイルEXV 大さじ1.5
ひとつまみ
胡椒 適量

 

作り方

A《シカ肉の低温調理》
①鹿肉の水分をキッチンペーパーでよく拭きとり、スジを取り除きロースの形を整える。
②味噌と塩麹を 1:1 で合わせたものを総重量の 10%分塗る。
③ ②の肉としいたけの石附を手で裂いたもの、曲がり葱の青い部分を手で軽く潰したものを一緒に真空用調理               袋に入れ、真空機にかける。もしくはジッパー付袋に入れ、口を9割ほど閉めておき、深めの鍋等に水を張り水が入り込まないようにゆっくり沈め空気が抜けた所でジッパー付袋の口を閉じ、真空状態にする。
④低温調理機を 75℃に設定し、温度に達したら②の肉をお湯に沈め、1 時間の低温調理を開始する。        ⇒フォン、マッシュサトイモ、野菜の素揚げ等の準備開始。
⑤ 1 時間経ったら肉の一番厚みがある部分で中心温度を計り、65℃以上あることを確認する。温度計がない場合は、金串や竹串を刺して 5 秒待ち、唇に当ててピリッと感じる程度まで温度が上がっていれば低温調理完了。もし 65℃以上ない場合は100℃に余熱したオーブンに入れ、10 分程度加熱して再度温度を確認する。 ⇒肉の仕上げについては《G》に記載。

B《シカ肉のフォン》
①フォン用の野菜を準備する。玉ねぎは薄めにスライスし、人参は 1cm 程度のさいの目切り、生姜は千切りにし、にんにくは木べら等で潰す。
②サラダ油を分量の半分ひいたフライパンで、スジ肉をこんがり焼き(焦がしすぎない、美味しそうな色まで)別の手鍋に移す。
③フライパンに残りのサラダ油をひき、②の野菜を焦がさないよう炒める。
④野菜も手鍋に入れ、炒めていたフライパンに白ワインを注いで沸騰させ、フライパンに残った美味しい部分をこそげ取り、肉・野菜と共に手鍋に入れる。
⑤フォン用の水を注ぎ、ホワイトペッパー粒を木べら等で潰していれ、強火で沸騰させる。
⑥沸騰したらアクを取り、弱火にしてローリエを入れ 30 分煮詰める。アクが出るので、他の作業を進めながらアクを都度取りながら煮詰めていく。
⑦ 30 分たったら濾しておく。※あまり力いっぱい濾さず、軽く押す程度に留めます。

C《マッシュドサトイモ》
①里芋をたわしで良く洗い、水から茹でる。(大体 20 ~ 30 分程度)
②竹串等を刺し、スッと入るようになったらお湯を捨て、熱いうちに皮を剥き細かめの漉し器で裏漉しする。
③手鍋に移し、バターを入れ加熱しながらしっかり溶かす。
④皿盛りまで冷めないようにラップ等を密着させておき、皿盛りの直前に再度温める。

D《セリのオイルソース》
①せりはみじん切りにしてオイルと合わせ、塩・胡椒で味を整える。

E《芋煮の季節のソース》
①手鍋にソース用の材料と、低温調理で出た液体や香り付けに入れた石附や曲がり葱等と、山椒は木べらで潰して入れ、火にかけ半分程度になるまで煮詰める。※鍋の周りが焦げないよう注意してください。
②煮詰めて味を見て、水っぽさが無くなっていたら別の手鍋にしっかりと漉し、濃度が付くようにバターを入れ乳化させる。とろみが付かない場合は、もう少し煮詰めるかバターを少し足して味を整える。

F《根菜の素揚げ、ソテー用の曲がり葱ときのこの準備》
①素揚げ用に野菜を準備する。人参(2 枚 /1 人)・さつまいも(1枚 /1 人)は 5㎜程度の輪切りにしピーラーで面取りしておき、さつまいもは別に極薄切りにスライス(3 枚 /1 人)して全て水にさらしておく。人参は大・小のサイズを作る。かぼちゃも同様に 4mm 程度にスライスし、ピーラーで面取りしておく。(1枚 /1 人)                                                ②曲がり葱は 10cm 程度の長さなるよう斜めに切り、更に断面が綺麗になるように半分に切っておく。また、1.5cm 程度の厚さで笹切りも作っておく。(2 枚 /1 人)
③椎茸は 4 等分に切り、しめじは手で裂いておく。
④水にさらした野菜はキッチンペーパーでしっかりと水気を切る。油を温め 160℃位の低温で野菜を色よく素揚げし塩、白胡椒を振っておく。※竹串を刺したり、触ってみて柔らかければ完了です。さつまいもチップは焦げやすいので注意しながら、パリパリに素揚げしてください。

G《きのこと曲がり葱のソテー、仕上げ》
①フライパンを温め、サラダ油を大さじ 1 とバターを入れとかし、シカ肉ときのこ、曲がり葱を入れて焼き色を付ける。※曲がり葱は押さえて焼くと綺麗に焼き色が付きます。裏返さず、そのまま焼いて火が通ったら取り出してください。きのこは焼き色が付いたら取り出し、シカ肉は全面に焼き色を付け、アルミ箔で包んで休ませておきます。
②マッシュドサトイモを温め直し、皿の真ん中におき、高さを出すように盛り付ける。
③休ませていたシカ肉を 5 ~ 7mm 位の厚さでスライスし、マッシュドサトイモの上に高さを出すように乗せる。
④芋煮の季節のソースを皿の全体に盛り付ける。
⑤皿の奥から、人参・かぼちゃ・さつまいも・しめじ・しいたけ・人参・曲がり葱・しいたけの順番に重ね、立体的になるように盛り付ける。最後にさつまいもチップ、セリのオイルソースをのせ、セリの葉をバランスよく飾る。