ジビエ料理のレシピ紹介

エゾシカ肉のロールカツ~ブドウ畑の香り~【第7回ジビエ料理コンテスト入賞/一般・学生部門】

★第7回ジビエ料理コンテスト 一般・学生部門 一般社団法人日本ジビエ振興協会代表理事賞受賞作★

石塚 空翔 様(エコール 辻 大阪)

【レシピのポイント】

・今回エゾシカ肉をたくさんの方に食べていただけるよう、カツとハンバーグを組み合わせてロールカツにしました。パサつきがちな鹿肉をミンチにして、油脂をたくさん吸ったしめじを混ぜ込みもも肉で巻きこむことでジューシーに仕上げ、エゾシカのおいしさを二度味わうことができます。単に揚げるのではなく、衣をつける前に一度焼くことで揚げることでは出せない香ばしさをつけています。

・付け合わせのカブにはビタミンcがたくさん含まれており、ビタミンcには鉄分吸収促進の効果があります。ですので、シカ肉や干しブドウに含まれている鉄分を効率よく摂取することができます。また、消化酵素のアミラーゼも多く含むため、胃もたれしづらいです。カブの皮や葉には実よりもたくさんの栄養素を含んでいるため、今回丸ごと使用しました。パンチの強いカツに淡泊な小カブは付け合わせにピッタリです。

・ソースは澱をベースに干しブドウの甘酸っぱさと黒コショウのピリッとした辛さを生かしたソースにしました。シカ肉独特の臭みは黒コショウで消すことができ、仕上げにバルサミコ酢を加えることでどんな方でも食べていただけるよう甘酸っぱさを残しました。

・エゾシカの被害の1つとしてブドウ畑があります。今回、この料理にはワイン用ブドウの副産物である澱や北海道TEAを使用しています。北海道TEAとは私の地元である北海道で作られているワイン用のブドウの葉を茶葉にしたものです。これをミンチに混ぜ込むことで、カツからもワイン用ブドウ独特の風味を感じることができます。澱は直接北海道のブドウ農家さんからお話を聞かせてもらった際にいただきました。澱はほかのワインよりもうまみ成分が強く、ソースにした際にもブドウのうまみをより強く感じることができます。このようなエゾシカの被害にあっているブドウ畑の副産物を使うことで、エゾシカ被害の認知や生産者様を応援したいという気持ちをこの一皿にのせました。

材料・分量(4人分)

エゾシカモモ肉 スジを取り除いて110g×2
【詰め物】  
エゾシカミンチ 140g
タマネギ 35g
ぶなしめじ 60g
干しブドウ 20g
松の実 8g
溶き卵 1/6個分(8g)
北海道TEA 7g
2g
コショウ 1g
サラダ油(炒め用) 大さじ2
   
2g
コショウ 適量
小麦粉 適量
溶き卵 適量
パン粉 適量
揚げ油 適量

 

◆付け合わせ

小カブ(皮、葉つき) 1株
2.2g
サラダ油 大さじ2
適量

 

◆ソース

鹿スジ肉(上記のエゾシカモモ肉を掃除して出るもの) 約40~50g
澱(赤)※赤ワインで代用可 500ml
フォンド・ヴォー 150ml
エシャロット 30g
干しブドウ 45g
黒コショウ(ホール) 20粒
バルサミコ酢 10ml
バター 10g
サラダ油 小さじ1
コーンスターチ 適量
塩・コショウ 適量

作り方

*鹿モモ肉は予め掃除をして、スジ肉は残しておく。
※スジ肉の量の目安:40〜50gほど

1.ロールカツを作る
① タマネギ、ぶなしめじはみじん切りにする。干しブドウ、松の実は粗く刻む。
② フライパンにサラダ油を入れ、温める。タマネギ、ぶなしめじを鍋に入れ水分が飛ぶまで炒める。その後冷ます。
③ 鹿モモ肉は6~7mmの厚さに肉たたきでたたき、厚さを均等にする。(幅9cm×15cmくらい)
④ ミンチ肉に塩を加え、粘りが出るまでよくこねる。②、①、ほかの材料を順に加えよく混ぜる。
⑤ ③の両面に塩、片面にコショウをする。コショウをした面に小麦粉をまぶし、その上に棒状にした④を置き巻く。タコ糸で縛る。
⑥ フライパンにサラダ油を入れ、高温に熱する。⑤を入れと焼き色がつくようにさっと焼く。網バットなどに移し粗熱をとる。
⑦ ⑥を小麦粉、溶き卵、パン粉の順につけ160℃の油で8分揚げる。取り出し休ませる。
⑧ 最後に180℃の油でこんがりときつね色になったら引き上げる。
⑨ 4等分にカットする。

2.付け合わせを作る
① 小カブは葉を実に1cmほど残して落とす。実と葉はきれいに洗う。実は8等分にする。葉は半分にし、長ければ3等分にする。
② 実に塩をする。
③ サラダ油を入れ温めたフライパンで焼き、断面にきれいな焼き色をつける。水を小カブの高さの1/3まで加え蓋をして蒸し煮する。
④ 8割ほど火が通ったら、葉を加え蓋を外しておく。
⑤ 水分が飛び、完全に火が入ったら引き上げ、保温しておく。

3.ソースを作る
① エシャロットはみじん切りにする。
② 鍋にサラダ油を入れ温める。スジ肉を焼き色がつくまで炒める。
③ 澱を加える。干しブドウ、エシャロット、黒コショウも加えて弱火で煮詰める。
④ 1/5の量まで煮詰まったら、フォンド・ヴォーを加えしばらく煮て味を馴染ませる。水溶きコーンスターチを加えて濃度をつける。
⑤ エシャロット、干しブドウをしっかり押さえながら目の細かいシノワで漉す。
⑥ 再び火にかけバルサミコ酢を加え、バターで全体をまとめる。塩、コショウで味を調える。

4.仕上げ
① 皿にソースを引き、付け合わせの小カブ、カツを盛ったら完成。

調理写真