ジビエ料理のレシピ紹介

イノシシバラ肉のハスカップワイン煮とそのパイ包み 北の野菜と共に【第7回ジビエ料理コンテスト入賞/プロ部門】

★第7回ジビエ料理コンテスト プロ部門 農林水産大臣賞受賞作★

斉藤 大樹 様(東京會舘

【レシピのポイント】

 私が生まれ育った北海道ではイノシシは生息はしておらず、今まで全く触れたことがありませんでした。なので、今回あえてイノシシを選択しました。地元食材を使用するということだったのでハスカップを使用したハスカップワインでイノシシを煮込み、旬の食材と一緒にパイで包んだ一皿を考えました。

 今回使用した部位はバラ肉です。実際自分で様々な部位を食べ比べた際、1番美味しいと思ったのがバラ肉だったので選択しました。ただちょっと味が強いと感じたので、最後まで飽きずに食べられるように、コンソメで煮込んだ大根とシイタケでサンドしました。パイの余分な隙間には、今が旬 のきたあかりと根セロリのピューレで埋めパイで包みました。ソースはハスカップがほのかに香る仕上がりにし、ジビエの時期に旬を迎える食材でガルニチュールを作りました。北海道にはいないイノシシと北海道の食材を掛け合わせた僕なりの一皿です。
ちなみに、なぜブレゼという調理方法を選択したのかと言うと、安全面に配慮し沸点を越える温度帯での火入れをしたかったからです。イノシシにはE型肝炎ウイルスやサルコシスティスなど危険な病原菌が潜んでいます。勿論ちゃんとした知識を兼ね備え適切な火入れを出来れば問題無いのですが、今回はリスクを避けこのような調理法を選択しました。

 今回のコンクールにおいて私は様々な本を読みましたが、一番驚いた事はイノシシの栄養の高さです。イノシシには必須アミノ酸のスレオニンが含まれており、脂肪肝になるのを防ぎます。また、コラーゲンも多く含まれており、冬場のバラ肉では牛の2倍、豚の3倍もあると言われております。今回バラ肉を使用した理由の一つです。そのほかにも様々な栄養素が含まれており、江戸時代にはイノシシを食すことを「薬食い」と呼ばれていたそうです。これからの寒い季節、そして現在もなお蔓延している新型コロナウイルスに負けない丈夫な身体を作るには、イノシシはまさにうってつけの食材だと感じました。イノシシは害獣としても知られていますが、ただ殺処分をするのでは無く、我々が奪った命を我々で消費することも大切だと思います。もしかしたらそれもまた持続可能なエネルギーに繋がるのかもしれません。

材料・分量(4人分)

◆イノシシのラグー

猪バラ肉 500g
タマネギ 150g
ニンジン 80g
ニンニク 1欠け
セロリ 40g
ブーケガルニ(タイム・ローリエ・砕いた黒コショウ・パセリの軸・セロリの葉) 適量
赤ワイン 600cc
ハスカップワイン 200cc
トマトペースト 6g
フォン・ド・ヴォー 100g

 

◆パイの中身

シイタケ 4つ
大根 1/4本
コンソメ 大根が浸かる量
【A】根セロリ 50g
【A】牛乳 40g
【A】水 20g
【A】塩 少々
きたあかり 大1個

◆ソース

ラグーのソース 200cc
バター 10g
適量
黒コショウ 適量
水溶きコーンスターチ 適量

◆フィユタージュ

強力粉 120g
薄力粉 120g
90g
白ワインビネガー 10g
5g
バター(折り込み用) 180g

◆ビーツのコンフィ

ミニビーツ 2個
500cc
無塩バター 12g
5g
ごぼう 4スライス
オゼイユ 4枚

◆カブとニンジンのミルフィーユ

カブ 2個
ニンジン 1本
ブイヨン 適量
少々
水溶きコーンスターチ 適量
柚子の皮 4欠け
シブレット 4本

◆サツマイモのニョッキ

サツマイモ 1本
薄力粉 20g
チーズ 10g
スプラウト 4本

◆栗のグラッセ

4つ
コンソメ 200cc
砂糖 20g
バター 20g
芽キャベツ 2個

作り方

【イノシシラグー】
1. 玉ネギ・ニンジン・セロリを2~3cm角に切って、猪肉は紐で結ぶ。
2. 猪肉を油をひいたフライパンでリソレする。この際背脂の面はしっかりと色を付ける。
3. 鍋に油を入れ弱火で潰したニンニクを炒める。
4. ニンニクの香りがある程度出てきたらミルポワを鍋に入れ色を付けるように炒める。
5. ある程度色がついてきたらきたらトマトペーストを加えて酸味が飛ぶまで炒める。
6. トマトペーストがしっかりと炒まったら赤ワイン・ハスカップワイン・フォンドボーを注いで強火にかける。
7. 沸いてきたら灰汁を取り除き、表面が軽くぽこぽこ湧く火加減に調整しブーケガルニを入れる。この状態でおよそ8時間程煮込み、脂と灰汁は随時丁寧に取り除く。液体が減ってきたら適量水分を追加する。
8. 猪バラ肉に串を刺す。スッと入るようであれば鍋から取り出し、冷えてから紐を取り除く。ソースは荒いシノワと細かいシノワでパッセした後冷やす。

【パイの中身】
1. 大根は皮を剥き1cmの厚さに切りシイタケは軸を取り除く。
2. 鍋に大根とシイタケ、それらが被る量のコンソメを注いで火にかける。
3. ふつふつとしてきたら中火にしコトコト煮込む。シイタケはある程度火が入ったら取り除き大根は竹串がスッと入るまで煮込む。
4. 根セロリの皮を剥きダイス状にカットする。
5. 鍋にAの材料を加え、沸いた後弱火で10分ほど煮込む。
6. 根セロリが柔らかくなったらザルに空け、ミキサーに根セロリと茹で汁を1/3ほど加え攪拌する。
7. 根セロリのピューレを細かいタミで濾す。
8. ジャガイモは水でよく洗い串がスッと入るまでバプールする。
9. ジャガイモの皮を剥き細かいタミで越して先ほどの根セロリのピューレと合わせる。

【フィユタージュ】
1. 粉は振るい、ロボクープに水とヴィネガー以外の材料を入れ回す。
2. ある程度合わさったらボールに空け中心に空洞を作りそこに水とヴィネガーを加える。カード等で切るように合わせる。
3. 固まってきたら捏ねないよう1つにまとめラップに包み、冷蔵庫で3時間休ませる
4. パイを綺麗に伸ばせるよう整形し、長方形になるように伸ばし三つ折りにする。そしたらまた長方形になるように伸ばし三つ折りにしラップをして冷蔵庫で1時間休ませる。
5. 上記の工程を後2回繰り返す。(三つ折りを計6回行う)
6. パイを3mmに伸ばしイノシシの中身を包めるサイズをカットする。(底10×10、ふた15×15)

【ソース】
1. ソースの余分な油を取り除く。
2. ソースを鍋にいれ味が出るまで煮詰める
3. 塩コショウで味を整える。
4. 水溶きコーンスターチでとろみをつける。
5. 盛り付ける寸前にバターモンテをする。

【ガルニチュール】
◆ビーツのコンフィ
1. ごぼう以外の材料を鍋に入れビーツが柔らかくなるまでゆっくり煮込む。
2. 火が入ったら鍋ごと冷やす。
3. ごぼうをスライサーで薄くスライスして5cmのセルクルに巻き付け狐色になるまで油で素揚げする。余分な部分は切り捨てる。
4. ビーツの皮を剥く。
5. 盛り付ける際ごぼうのリング縦に置き下にビーツのコンフィとオゼイユを添える。

◆カブとニンジンのミルフィーユ
1. カブとニンジンの皮を剥き1mmほどにスライスする。カブは11枚、ニンジンは10枚。
2. カブは4cm、ニンジンは3cmに丸い型で抜く。
3. カブとニンジンをブイヨンで軽く火が通るまで煮る。
4. 火が通ったらブイヨンから取り出し大根から順番に重ねていく。
5. 重ね終わったら半分に切って半分を1人前とする。
6. 盛り付ける際先ほどのブイヨンを水溶きコーンスターチで軽く繋ぎ上からかける。そして刻んだ柚子の皮とシブレットを飾る。

◆サツマイモのニョッキ
1. サツマイモを洗って半分にカットする。
2. 半分は串がスッと入るまでバプールにかける。
3. サツマイモに火が入ったら皮を剥き細いタミでパッセする。
4. 粗熱が取れたらそこにチーズと薄力粉は加えグルテンが出ないように合わせる。
5. もう半分のサツマイモをジュリエンに切る。
6. ニョッキを一口大の大きさにまるめたら粉をまぶし溶き卵等をつけサツマイモのジュリエンを衣にしてまぶす。
7. 油で素揚げする。
8. 盛り付ける際1人前2個つけてうち1つは立てかける様にしスプラウトを飾る。

◆栗のグラッセ
1. 芽キャベツをブランシェし発色したら取り出す。
2. 栗を渋皮まで剥く。
3. 鍋にコンソメ、砂糖、バター、栗を入れ強火にかける。
4. 栗に火が入りツヤがでたら芽キャベツを葉を周りに飾り盛り付ける。栗に火が入ってない場合は随時水分を追加する。

【組み立て・盛り付け】
1. 猪肉を1cmにカットする。
2. 下から猪肉、大根、猪肉、シイタケの順で組み合わせる。この際シイタケの下の部分にきたあかりと根セロリのピューレを隙間を埋めるようにナッペする。
3. ラップにピューレを薄く伸ばし2を包み込む。丸くなる様に成形して安定するまで冷蔵で休ませる。
4. パイ皿にパイを敷き、3を乗せる。蓋が出来るように周りに卵黄を塗る。
5. 上から蓋のパイを被せ空気が入らない様に包む。
6. 9cmのセルクルでパイを抜く。
7. 卵黄を薄くパイに塗ったら卵黄が落ち着くまで冷蔵庫で休ませる。この工程は全部で3回行う。
8. 塗り終わったら頂点に空気孔の穴を開け包丁の背で模様を付けていく。
9. 200℃のオーブンで20〜30分焼く。オーブンの個体差によって焼き上がり時間に前後が生じるためしっかりと注視する。
10. ガルニチュールを温め皿に盛り付ける。
11. パイが焼けたら半分に切り皿に盛り付ける。
12. パイとパイの間にソースを注いだら完成。

調理写真