2026年05月28日
4月22、23日に、「ジビエde地方創生 協力隊セミナー2026」の第1回を開催いたしました。
本セミナーは、弊会が2025年から掲げている「ジビエde地方創生」のコンセプトを具体化したものと言えます。ジビエによる地方創生では、川上から川下までを担う人材が欠かせません。また、この数年、地域おこし協力隊関係者からの弊会への問い合わせが増えていたこともあり、総務省の協力も仰ぎ企画されたもので、今年度全6回を予定しています。4月開催の第1回目は日本各地から4名の方にご参加いただきました。
会場は弊会代表理事の藤木がオーナーシェフを務める「オーベルジュ・エスポワール」。1日目は座学と、枝肉からの解体講習、試食の3本立てで、2日目は最寄りの施設「信州富士見高原ファーム」での解体講習というプログラムとなっています。
1日目、座学では、まず藤木がジビエ振興の歴史と現在地、食肉利用の基礎知識、豚熱対策などをレクチャー。ここでは特に「2014年にガイドライン策定」「『食品としてのジビエ』は10年程度の歴史」といった、ジビエ振興の歴史について、参加者から「面白い」「知らなかった」という声があがりました。
後段のジビエ振興2.0、ジビエの付加価値づくり、地域資源との組み合わせを検討する「& GIBIER」のレクチャーでは、ジビエ振興を盛り上げていくための「物語」をどう作るか、これまでのセミナーでは踏み込んでこなかったマーケティングにも触れ、多様なジビエ振興のあり方をお示ししました。
枝肉から部位への解体講習は、高知県香美市で施設「高知ジビエ工房」を運営する橘木岳大氏が担当。氏はエスポワールでのシェフ修行を経て、地域おこし協力隊として香美市で狩猟・ジビエ事業を開始し、任期を終えた今も香美市でジビエ事業に携わっています。
料理人でもある橘木氏は、「ジビエの可能性の探求」「肉としてのジビエの生産販売に特化」という基本方針を貫いており、肉の美味しさにこだわった処理が特徴です。自分なりにジビエの美味しさを言語化しており、その定義が特徴的で分かりやすく、参加者にも響いていたようです。そんな美味しさにこだわった解体処理方法を、実際の施設運営のエピソードを交えてつぶさに実演・解説したため、非常に内容の濃いレクチャーとなりました。
そして、1日目最後のプログラムは、食べ比べ試食・ジビエ料理の試食でした。
食べ比べでは「鹿骨のスープ」「鹿の内モモ・外モモ・カタ・スネ」「秋田県産月の輪熊モモ肉炭焼き」。鹿の部位別試食は、油も使わずにフライパンで塩だけして焼いたもの。素材の味がストレートに分かるように提供されました。料理は、藤木が腕を振るった全8皿。前菜からデザートまでいずれも地域の旬の食材と合わせたフルコースで、「&GIBIER」の可能性を提示する内容でした。
メニューの一例。「ジビエ・シャルキュトリーと信州野菜の盛り合わせ」。パテアンクルートには鹿肉・イノシシ肉に、シナノグルミと銀杏。鹿肉ソーセージには諏訪の酒蔵の酒粕と金柑。仕上げには茅野市産のりんごの枝を使って燻香付け。コンディアー(コンビーフの鹿版)には、旬の蓼科産の田芹を練り込んでいる。すべてのメニューがこのように地域産食材とストーリーで彩られていた。
2日目は、信州富士見高原ファーム(長野県富士見町)に集合し、捕獲後の個体を枝肉にするまでの実演講習が行われました。
実演の前に、まず代表の戸井口裕氏(写真中央)が施設、運営の現状を紹介。地域の狩猟者との協力体制や売上の問題、鳥獣被害との関係など、昨日の橘木氏の講習と同じく、非常にリアルな状況が語られました。
解体実演は、施設職員の荻原宏一氏が行いました。剥皮、内臓摘出、内臓のチェックなど、枝肉にするまでの作業を一通り実演しながら解説。ナイフ、手指の消毒のタイミングや、ナイフの入れ方、力の入れどころや肉質を見るための視点などの事細かな解説。また、近い距離感での講習だったために、実演中から参加者の皆さんには自由にご質問いただいたこともあって、参加者の皆さんにも満足していただけたようでした。
終了後、参加した方に伺いました。
ある参加者は、すでに施設で勤務しており解体の経験もあったそう。ですが、施設運営の実情を聞けたことから、「自分たちの施設運営を改善するヒントがたくさん聞けた」と話しており、すぐにでも成果を活かしていけそうです。
また別の参加者は、まだ自治体がジビエに取り組んでおらず、施設もこれから、という段階であったため、「捕獲後の解体から食用にする、食べるところまでの流れをすべて見せてもらえたことはとても勉強になった」と話しており、「ジビエが地域の食文化にも有効だと分かった」とし、まだ施設設置に進むか不透明ではあるものの、「今後の活動に役立てて行きたい」と話していました。
「ジビエde地方創生 協力隊セミナー2026」の今後の予定は、6月はすでに満席。9月、11月、12月はまだ申し込み可能です。地域の実情に即した事業のスタートのために、ジビエ振興をご検討の自治体、協力隊員の方、またはジビエを始める料理人の方はぜひ受講をご検討ください。
※本セミナーは、農林水産省〔鳥獣被害防止総合対策交付金〕対象事業です。