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国会議員、自治体首長・関係者らと「クマとジビエを食べる会」 新たな活動に向けて大きな一歩

2026年06月01日

5月29日、東京・表参道のビストロun cafeにて「クマとジビエを食べる会」を開催し、ジビエ振興の課題を共有する国会議員、地方自治体の首長の皆さま、企業の皆さまにご参集いただき、クマの食肉利用や東日本におけるジビエ振興の課題について意見を交わしました。

クマ被害と北関東・東北のジビエ課題

本食事会は、自民党の「鳥獣食肉利活用推進議員連盟」(会長=石破茂議員、通称「ジビエ議連」)、「鳥獣捕獲緊急対策議員連盟」(会長=山谷えり子議員、通称「鳥獣議連」)、鳥獣被害対策特別委員会(委員長=笹川博義議員)が合同開催したもの。昨今のクマ問題を踏まえ、まずは食べることで考えるきっかけとしようという狙いです。

国会議員は、石破議員のほか、鳥獣捕獲緊急対策議員連盟(鳥獣議連)会長の山谷えり子議員、鳥獣被害対策特別委員会委員長の笹川博義議員のほか、関連議連・委員会に所属する議員の皆さまにご来場いただきました。また、環境省、農林水産省、厚生労働省の職員の皆さまも参加されました。

上段左:石破議員、右:山谷議員。下段左:笹川議員。乾杯の音頭は農水政務官の広瀬健議員が務めた

弊会としては、食肉利用を通じてクマ問題に貢献したいという思いとともに、ジビエ振興の課題である「利活用率向上」のために、2011年の福島第1原発事故に伴う出荷制限の掛かっている北関東から東北地域におけるジビエ振興の重要性を説明しました。クマの出没、イノシシの北上による農業被害と出荷制限がかかるエリアは共通するところもあります。弊会代表の藤木は、「現在全国でジビエの処理施設は900カ所あると言われるが、東北、北関東には40カ所しかない。このエリアでの振興を拡大することで、日本全体の利活用率を向上することができるのではないか」と述べています。

そのため、今回クマ被害や放射性物質による出荷制限に係る7自治体から首長が参加し、ジビエ振興の現状と課題などを訴える場となりました。

・群馬県・山本一太知事
・秋田県北秋田市 津谷永光市長
・福島県西会津町 薄友喜町長
・福島県檜枝岐村 平野信之村長
・福島県北塩原村 遠藤和夫村長
・千葉県茂原市 市原淳市長
・静岡県伊豆市 菊地豊市長

山本一太知事

山本一太 知事

群馬県

津谷永光市長

津谷永光 市長

秋田県北秋田市

薄友喜町長

薄友喜 町長

福島県西会津町

市原淳市長

市原淳 市長

千葉県茂原市

菊地豊市長

菊地豊 市長

静岡県伊豆市

津谷北秋田市長は、市街地にも出没しているクマ被害の現状を訴えたうえで、「秋田には山の生命をいただくというマタギ文化がある。我々もせっかく生命を奪うのであればやはり美味しくいただき、それを地域振興につなげていくことが必要ではないか」と話し、管理捕獲・ゾーニングといった「守り」の鳥獣被害対策から、「地方創生」としての取り組みへの転換を図りたいと述べ、自然を守りながら地域を活性化していくために国の支援を求めました。

薄西会津町長は、「ジビエは獣害を地域資源に変え、循環型社会を実現する大きなポテンシャルがある」と話し、十分な捕獲頭数を確保するために北塩原村、磐梯町と広域連携を図って処理施設を建設する考えを示しました。そのうえで、「捕獲、処理施設の建設・運営はもとより、福島県に課されている放射性物質による出荷制限の解除には、国の力強いご支援が不可欠。現場の実情や地域の声に耳を傾け、総合的な支援策の拡充や必要な財政支援にお力添えを」と訴えました。

北秋田市と西会津町では現在新たなジビエの解体処理施設の建設が検討されており、弊会もこれに協力しています。この施設を放射性物質による出荷制限への対応や狭隘な中山間地における広域連携のモデルにしたい考えもあります。

クマ肉のジビエ利用の可能性

クマの串焼き

チャーシュー ソーセージ すき焼き

肝心のクマ肉については、単に「美味しい」という以上のさまざまな反応が見られ、今後の可能性を感じさせる意見が多く聞かれました。

提供されたのは、

・北秋田市産 ツキノワグマのチャーシュー(りんごのコンポート合わせ)
・北秋田市産 ツキノワグマのソーセージ
・信州産 ツキノワグマのすき焼き丼
・信州産 ツキノワグマの串焼き

ジビエ協の理事を務める麻布大学名誉教授の坂田亮一氏は、ハム、ソーセージなど食肉加工の専門家であり、ドイツの食肉加工コンテストの審査員も務めるなど世界の食肉事情にも通じています。坂田氏はクマ肉料理を食し、一般に言われる「クマの脂は甘い」という説には疑問を呈しつつも、「クセがなく、とても面白い肉」と評価。欧州ではクマを食べる習慣がないため、ハム・ソーセージでも扱われることがありません。その意味でも「新しい肉として非常に可能性を感じる」と話していました。

また、辻調理師専門学校 教育研究センター長の山田研氏も参加しており、クマ肉を「ニュートラルな味。普通に美味しいし、食感に特徴がある」と評価。坂田氏のコメントに共通していますが、実は洋の東西を問わずクマ料理のレシピはそれほど多くないそうです。「既存の肉に当てはめるのが難しく、それが逆に未知の食材であり、新たな料理の可能性を感じさせる。今日食べただけで、いろいろ試してみたくなった」とし、ソーセージだったらこういうやり方はどうか、細切りでの調理はどうかと次々とアイデアを披瀝してみせました。居合わせたレトルトの専門家も、「クマ肉は出汁がよく出る。煮込みとの相性が抜群だ」と盛んに述べ、議論が盛り上がりました。

今後の展望

今後弊会では、

①放射性物質による出荷規制の解除または緩和

②北秋田市・西会津町でのモデル事例の推進

③クマの食肉利用拡大に向けたガイドラインの策定

などを進めたく考えています。

③については、クマの食肉利用は、現在厚労省のガイドラインに準拠しているものの、固有の特徴もあり、利用拡大をオフィシャルに進めるには正式なガイドラインが必要との声も多く聞かれているため、今後の検討課題となっています。あわせて、クマ料理のレシピのラインアップがまだまだ多くはないため、レシピブックなどの制作も検討しています。

②は、北秋田市、西会津町で「ジビエde地方創生」のコンセプトに則った活動を展開しており、その意味でのモデル事例であると同時に、東北に固有の実情に沿った新しいタイプの運用を行うモデル的な施設を目指していきたいと考えています。

①の放射性物質による出荷制限解除は、科学的知見に基づいた議論と平行して、広く社会一般にも認知を広げていく活動も検討しています。

今回の食事会は、こうした方向に向けた第一歩として、国会議員、自治体、省庁、企業に幅広く訴える機会となりました。今後も自治体、企業、そして現場と連携しながら、国政へ直接地域の声を届ける場を設け、各取り組みの実現を図ってまいります。